===今こそ西郷精神を===
当奉賛会は「西郷隆盛公の精神を現代に」の理念の下に平成16年(2004年)に設立いたしました。当奉賛会にご理解・ご賛同をいただきました皆様方のおかげで、設立より今日まで順調な運営を続けて参ることができましたことに心から御礼申し上げます。
さて、これからの日本に必要なことは、明治維新を達成した西郷南洲翁はじめ先達のすぐれた識見と精神であると思います。そういう観点からも、「西郷精神を現代に生かす」ことが、最も大事なことではないかと思います。
その中でも、教育は最重要課題で、誇りある国づくり、人づくりは、今後の日本の行く末を左右する最も大事な取り組みではないでしょうか。
ご承知のとおり、昨今は、毎日のように殺人事件など異様な事件が続発いたしております。現代は、いつ、何が起こるかわからない、という不安を抱いている人が多いのではないでしょうか。こういう思いを打開して、新しい時代を迎えるためにも、「西郷精神」を伝える当奉賛会の使命は、一層重大になってきたと思います。
会員の皆様と一丸となって、新しい時代を担う若者達に、南洲翁の心や思いを訴え、啓蒙して参りたいと思います。
皆様方のより一層のご支援ご指導を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
===敬天愛人 南洲翁遺訓から===
「道は天地自然の物にして人はこれを行うものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給うゆえ、我を愛する心を以て人を愛するなり。」
人間の道は、天地自然のものであります。人間は天地自然の賜物であり、また、天地自然を本として生存しているので、天地自然を敬うことが人間本来の目的であります。しかも天地自然は他人も自分も同様に愛されていますから、自分を愛する心をもって他人を愛さなければならないということです。これが天地自然の道であり、同時に人間の道であります。
南洲翁の「敬天愛人」の思想は、この一節から出ております。人間の道を天地自然におかれたことは、天地自然は真理であり神であり、愛であり仁であるということです。
元来、人間は神の子であり、人間には、神性が宿っているのであって、良心とか誠とか愛とかは、神性そのものであるというのです。また、人間の生命も大自然の生命そのものの中にあるのであって、自分の身体も実は自分のものではないのです。それを人間は気づかないのです。南洲翁が、人間の道を天地自然において、敬天愛人を説かれたことは、こういう深い根本にふれておられます。
===武士道に学ぶもの===
私たちがNPO法人西郷隆盛公奉賛会を設立した動機の一つとして、また、一番心掛けなければいけないこととして、現代日本人が忘れかけている「心」というものをもう一度見直して、まず大人がそれを学び実践していくことが重要であると思い設立いたしました。
その古きよき日本人の心を形成した教えの一つの大きな柱になったものが、「武士道」ではなかったかと思います。
武士道は、仏教と神道から大きな影響を受けたといわれています。その源は、孔子の箸した「論語」にあり、さらに王陽明が説いた「知行合一」の実践も重要な要素であるといわれています。
そして、仏教が武士道に与えなかった精神を神道が提供したようです。他のいかなる信条によっても教わることのなかった「主君に対する忠誠、先祖への崇敬、さらに孝心」などが神道の教義によって教えられました。
また、興味深いこととして、神社の霊廟には礼拝の対象物や器具がほとんどなく本殿にかかげてある装飾のない一枚の鏡が神具の主たるものです。
この鏡の存在理由の説明は簡単で、鏡は人間の心の表象であるというのです。心が完全に落ち着き清明であるとき、そこには「神」の姿をみることができるというのです。
したがって、参拝者は社殿の前に立つとき、輝く鏡の面に自分の姿をみて、そして、自分自身の心の内面を見るのです。
恐らく、西郷隆盛公は、郷中教育、島津斉彬公はじめ様々な当代一流の人々との出会い、二度にわたる流謫生活や度重なる艱難辛苦を体験して、その精神を体得したのだと思います。
私たちは、その精神を模範として、また基本として、今日本人が一番ないがしろにしている「心」を大切にし、継承して行きたいと思っております。当奉賛会へのご指導・ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。